マダイ

          ▲マダイの刺身。とても美しく品があります。
          ▲桜鯛 さすが王者の品格

          春のマダイは産卵期を前に、ピンクの魚体がさらに鮮やかになり、桜の季節と重なることもあって「桜鯛」と美しい名前で呼ばれています。春先の「桜ダイ」が本来の旬とされていますが、その時期は産卵期直前で、卵に栄養を取られ多少味が落ちていくとの評価もあります。

          ▲60cm級のマダイ

          萩沖の海は、相島から尾島そして櫃島にかけて、水深が40mから60m、適度に岩礁帯が散在し、マダイの格好の住みかとなっています。港から漁船で5分、本土から一番近い羽島周辺でも80cm級の大型マダイの漁獲がコンスタントにあるなど、萩沖の海の豊かさを垣間見る好事例かと思います。

          ▲天然と養殖

          マダイは養殖物も多く出回っていますが、味・姿とも天然物にはかないません。養殖物は、脂がちょっとしつこい感じで、日持ちもしません。黒ずんだ体色で、尾びれが不整形で、簡単に見分けがつきます。

          ▲マダイの兜煮

          料理の定番は、やはりお刺身。朱色が美しく、刺身にしても品格を感じます。皮をつけたままの松皮造りも旨みがあって通好み。兜焼や兜煮も人気のメニュー。変わったところでは、四国宇和島風の鯛めし。これは、判りやすく言うと「マダイ刺身の卵掛けご飯」。薄めに引いた刺身を生卵と出汁醤油で和えて、暖かいご飯にぶっ掛けて食べます。調理も簡単で美味しいので是非試してみてください。

          ▲鯛めし

          加熱料理では鯛めし。家庭の炊飯器が小さい場合は、土鍋を使うと良い。分量の米と水に、塩、薄口しょうゆ、みりん少々を加えて、昆布をひく。軽く焼いたタイをのせ、普通に炊く。湯通しした油揚げをきざんで入れるとコクが増す。

          ▲鯛飯(宇和島風)

          目の上にあるコバルトブルーのアイシャドウや、背中のブルーの斑点が鮮やかなもの。食べ頃サイズは1kg~1.5kgのもの。

          ▲真鯛あら煮丼

          かつて、まだ漁船が動力化される前の和船時代、北浦の漁師達も数日分の食糧を積み込み、沖泊まりしながら漁を続けました。沖での食事、おかずはもちろん漁獲した獲物。魚体に傷がついたものや小ぶりのものを食したそうです。忙しい漁の合間に時間を惜しんで調理するわけですから手間の掛かる料理ではなく、今でいう簡単クッキング。マダイなどは刺身で食べることが多かったようですが、毎日刺身ではさすがに飽きがきてしまいます。手間を掛けずに簡単にということで、マダイをブツ切りにして、船に積み込んでいる大根などの野菜も一緒に甘口醤油で濃い目に煮付け、それを丼飯の上に載せて食べるのが「真鯛のあら煮丼」。マダイの身はもちろん、マダイの旨みエキスが溶け出した煮汁がご飯に染み込んで、味は文句なし。食器も丼ひとつで済み、船上での後片付けも楽。