江戸時代の食べ物百科辞典「本朝食鑑」に、「鷹の羽のような鱗紋がある」と書かれている。鷹の羽のような模様がトレードマーク。一般的に流通量は少なく、日本各地の漁港で地元消費される。萩では「キコリ」と呼ばれる(キにアクセント)。なぜキコリ?斧で、木を切るときの、キズに見える?タカノハダイは、独特の磯臭さがあり、特に夏場は臭くて食べられない個体が混じる。日本書紀の天武記に、「蒭・樵ること莫れ」とある。「くさかり、きこることなかれ」。「くさい=きこり」??語源は不明。しかし、冬から春にかけて、活魚で扱われたものは臭みが無く、美味。萩の魚通でもファンが多い。
魚類の大半は、活けジメした直後に食べるより、一定時間、熟成させたほうが、格段に旨味が増す。但し、ほとんどの貝類や、イカ類、そして、一部の魚種は、シメ直後に、旨さのピークがある。タカノハダイもそのひとつ。
おすすめ料理は、洗い。美しい透明感のある身が美しく、雑味の無い高級魚の味。洗いの原理は活きた身を、冷水で強制的に(死後)硬直させて食べる料理。つまり、活けの魚でないと、全く意味がない。
塩焼きは、旨味が欠けるため、いまひとつ。良いものは、基本的に活魚。店頭で活かしで売っていることは稀で、魚屋で活魚をさばいて洗いにしたものを購入するのが無難。磯釣りでかかることもあるが、活かして持ち帰られないため、人気がない。家でさばく時は、臭みが出るため、内臓を傷つけないように注意する。