対馬暖流に乗って南の海から日本海を北上するお魚で、トビウオが萩沖に登場すると、いよいよ夏。沖に出ると、翼のような胸鰭を広げて滑空する姿が見られます。これまでの観察で、500メートルも飛ぶ種類も。この時期、見島沖にはこのトビウオを追っかけて本マグロが回遊してくるそうです。
地方名は「アゴ」、由来は諸説ありますが、「あごが外れるほど美味しい」からとか。身はとにかく弾力に富んでいて、しっかりした歯応えと、濃い旨みが特徴です。福岡や長崎では“アゴだし”といって、トビウオを出汁に使う家庭も多く、旨み成分の多いお魚の証明です。
大型が一匹200円などと、価格も安く、見た感じ、あまり美味しそうなお魚には見えませんが、味は一級品。刺身・塩焼き・小型のフライがポピュラー。多少手間はかかりますが、新鮮なトビウオのすり身の唐揚や団子汁も絶品、お勧めです。
選び方は、ブルーの体色が鮮やかなこと、目がきれいな事、ウロコやヒレに傷が少ないもの。刺身には大型を選んでください。 瀬付きアジ・イサキ・ケンサキイカと、これから漁の盛期となり、価格的にもお手頃な時期となります。
勢い良く水面をジャンプし滑空する姿から、威勢の良い魚とされ、萩地域でも、子供たちの健やかな成長を願う端午の節句などになくてはならない縁起魚でした。萩市三見浦では古くから初漁のトビウオを神様に捧げる風習があり、こちらは大漁と海上での安全を願うもの。かつては萩市見島でもトビウオ漁は島のメイン魚種、6月から初秋にかけて宇津沖で大人数が繰り出して集団操業をしていました。大量に漁獲されるため、刺身や焼き物などで、漁家でも盛んに自家消費されたようです。あれだけのジャンプをする魚なので、身はとにかく弾力に富んでいて、しっかりした歯応えと、濃い旨みが特徴です。“アゴだし”といって、乾燥したトビウオを出汁に使う家庭も多く、旨み成分の多いお魚の証明です。トビウオを使った浜料理の逸品が「あごの団子汁」、新鮮なトビウオをすり身にして、澄まし汁仕立てにした椀。多少手間はかかりますが、トビウオ独特の旨み・食感を味わえる優れた料理法だと思います。