よめのさら(ヨメガカサほか)

          ▲萩島嶼部の郷土料理「ぐべ汁」
          ▲岩に付着したヨメノサラ

          岩場によく張り付いている数センチの笠型の貝。山陰地方では、ベベ、ヨメノサラと呼ばれ、郷土料理として親しまれてきた。ヨメノサラと一口に言っても、実は、数種類の貝の総称で、萩では主に4種類が普通に混ざっている。マツバガイ、ベッコウガイ、ヨメガカサなど。他にも種類があるので、小学生、夏休みの自由研究の対象にしてみては?磯の波打ち際にどこでもいる。漁業権があるので、無断で獲ってはいけません。

          ▲ぐべ汁

          嫁の皿を使った萩沖見島の郷土料理が”ぐべ汁”。嫁の皿を出汁兼具として調味した白味噌仕立ての貝汁。最近では、嫁の皿が貴重品となってきたので、鷹の爪(カメノテ)やニイナ(小型の巻貝)を混ぜることもありますが、本式は嫁の皿のみで作るといいます。濃厚な磯の味と香りいっぱいの味噌汁で、食欲のない朝などでもごはんが進みます。見島の宿の朝食には、必ずこのぐべ汁が大きな椀の山盛りで出てきて、思わず頬が緩んでしまいます。

          ▲ヨメノサラの炊き込み飯

          炊き込みご飯も美味。出雲地方が有名。最初に湯がいて、身を外し、酒、醤油、みりんで味付けし、炊く。磯の風味と、良い出汁がでて美味。。貝の旨みとコクが味わえる素朴な料理です。漁師料理というよりは、海辺に近い農家の料理です。かつて、農繁期が始まる前の3月下旬の頃、忙しくなる前の家族団らんの行楽行事として、一家総出で近くの海岸に弁当持ちで遊びにいったとのこと。その際、海岸で火を起こし、子供たちが現地調達した嫁の皿を具に、炊き込みご飯を炊いて楽しんだとのこと。この風習は今では廃れてしまいましたが、「磯遊び」「磯あけ」という名称で、長門海岸沿岸地域の郷土資料に登場します。

          ▲ヨメノサラ4種

          良いものは、基本的に活きているもの。大型のもの。マツバガイなどは、10センチを超えるものがある。殻が比較的平らなヨメガカサが美味しいとか、比較してみるのも面白い。