かなとふぐ(シロサバフグ)

          ▲庶民のふぐ、萩ではカナトフグの地方名
          ▲シロサバフグの3枚おろし

          シロサバフグ。下関南風泊では、トラフグの今期最初のセリが行われ、フグシーズンが本格的に開幕。シロサバフグは、萩ではカナトフグと呼ばれ、値段も安いことから、昔から親しまれている。旬は秋で、お盆過ぎから漁獲され、10月頃が盛りで、12月まで楽しめる。

          ▲シロサバフグの薄造り

          萩はふぐ漁の歴史が古く、笠山の麓、越ヶ浜の港は、日本最大級のふぐはえ縄船の基地。シロサバフグ(現物)は、日本中に生息しているが、萩のシロサバフグは、ふぐはえ縄という伝統的な漁法で、1尾づつ丁寧に釣られ、港まで活かした状態で運搬されるという、最高級のトラフグと全く同じ扱い。安全・安心で、高品質な天然ふぐ。

          ▲シロサバフグの唐揚

          すすめ料理は、タタキ。カツオが有名だが、トラフグに比べ、身の柔らかいシロサバフグにもピッタリの調理法。身欠きのフグを買ってきて、三枚におろす。軽く塩をふってコンロであぶる。冷水で熱をとり、水気を拭く。そぎ切りにして、出来上がり。薬味はもみじおろし。から揚げは、ぶつ切り、または小サイズをそのまま市販のから揚げ粉でOK。おすすめは、小麦粉のみで揚げて、もみじおろしで。天ぷらも美味。冬には鍋で。

          ▲シロサバフグのちり鍋

          漁場から生簀で持ち帰り、水揚げの際に一匹づつ活き締めした高鮮度のシロサバフグは、漁師言葉で「ビタ」と呼ばれ、輸入物や、冷凍物、鮮度落ちしたものとは、まさに別物です。なお、このシロサバフグをからからに乾した干物「干しふぐ」は、かつて萩地方のおせち料理の必需品、年末には軒下に吊るされた干しフグが萩の暮の風物詩でした。