2009年4月、もったいないプロジェクトの始動と同時に、その推進組織として市役所の商工課内に「萩ブランド流通開発室」を新設しました。当時の担当職員が首都圏セールス活動等で培ったネットワークを活用し、熊谷喜八氏(以下熊谷シェフ)に、「魚を中心に萩の食資源をその目で吟味していただき、お眼鏡に叶った食材を使ったオリジナルレシピ集を出版してもらいたい」と無理を承知でオーダーをしたところ、氏は当プロジェクトの趣旨に賛同し、快く応じていただきました。
熊谷シェフは2010年から取材に入り萩の旬の食材を吟味され、2011年、ついにレシピ本『キハチのさかな・酒の肴 萩の肴』が完成。オリジナルレシピ約80種が収録され、料理を盛り付ける器も萩焼と萩ガラスを使用するなど、オール萩仕様の一冊になりました。さらに出版記念試食会を東京と地元萩で盛大に開催し、テレビや新聞に取り上げられるなど大きな反響を呼びました。その本の料理撮影の際に出てきたアイデアをきっかけに、地元漁協玉江浦支店女性部が中心となって試作、熊谷喜八シェフにも「地元生産者のため」と熱心に指導をしていただき、新製品「いかたっぷりXO醤」が誕生しました。
「地場野菜を救った料理人」として名高い奥田政行シェフ。山形県の食材を使ったイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」を取り仕切る奥田氏との最初の出会いは、農林水産省が推進する食糧自給率向上キャンペーン「FOOD ACTION NIPPON」の表彰式でした。記者会見の場で目立たないといけないと考えた萩ブランド流通開発室の職員は、「金太郎」をかたどったかぶり物を頭に乗せて出席。その姿に、奥田氏の方から声をかけていただいたのです。その後、なんとか食材開発の相談に乗っていただけないかと、世界中を飛び回る多忙なシェフにアポをとるために北海道まで追いかけた結果、深夜までじっくりお話する機会を得て、そして承諾していただくことができました。
2011年夏、萩に来られた奥田氏は、若手料理人に対する講習会や市民向けの講演会などを精力的にこなされました。同時に、「オイル・ルージュ」の改良指導をいただき、「オイル・ルージュ イタリアン」が誕生しました。その後、奥田氏が料理の総責任者を務められた世界経済フォーラム年次総会「ダボス会議」で、「金太郎」を使用した「金太郎とバナナ」が振る舞われたことから、「萩の金太郎が世界デビュー」という見出しの新聞記事が掲載されて話題に。さらに、奥田氏によって「オイル・ルージュ」がローマ法王に献上される名誉も得ました。
2013年シニア野菜ソムリエの佐藤雅美さんを通して、東京・広尾の有名イタリア料理店「ACQUAPAZZA」の日髙 良実シェフとご縁がありました。2014年1月19日(日)にはACQUAPAZZAと佐藤さんが手掛けるdelicious&delight cafeのコラボレーションによる、「冬の山口を、食材の魅力を生かしたイタリア料理で楽しむ」と題されたイベントが行われました。佐藤雅美さんが萩市の生産者を実際に訪問し厳選した野菜や果物や加工品を料理に使用し、説明を交えてランチを楽しんでいただきました。 また、シェフに考案いただいた「オイルルージュとハナッコリーのSpaghettini」のレシピもこちらで紹介しています。山口産のオリジナル野菜であるハナッコリーとオイルルージュの出会いの味を、ぜひご家庭でもお楽しみください!